それー

「へこむぅ〜」という辞世の句を最後に、天国の「あの世」から、地獄の「この世」に侍が戻ってきた。(盆帰り)
しかし、またも運悪く、この世は今や夏真っ盛り。


うだる暑さの中「Sunshine お前のせいだぜ」と八つ当たりをするのがせいいっぱいで、
悔しさのあまり、液体状の夕焼けが僕の座敷牢に流れ落ちてきている状態だった。


泣きながら自然とポツリと出た一言「あぁ休みたい」 この世であることを休みたい、侍はそう強く願いつづける余りに、
眠りにつくと必ず、自分が小中高時分だったころの夏休みの夢を見るようになった。
それの楽しさのあまり、寝汗で全身びっちゃんこになる日が続いた。


次第に現実と夢が、ごちゃまぜLOVEになり、本気で小中高の夏休み時代に戻れないかと、
右手に島と大地の実り、左手にキスールと高校生の考えた洒落ドリンクを持ち、
あおるように飲みながら本気で考えてみた。
(あの時分は島と大地の実りとペプシMXを良く飲んでいたよ、キスールを飲むのは恥ずかしかったけどな!)


だが、結局答えは出ないままであった。(全部、洒落ドリンクが悪いのだ)
寝汗びっちゃんこの体を清めるため、侍はシャワーを浴びようと
カビだらけの風呂場をカビキラーで洗い、その後にシャワーを浴びた
するとどうだろう、風呂場一面にたちこめる、この塩素のにおい・・・どこかで嗅いだことはあるまいか・・・。


そうだ・・・ これは・・・ 小学校の時のプールのにおいだ!
シャワーから水だけを出して浴びると、正に消毒槽に入る前に浴びる水のシャワーと同じではないか!
これだ!青春が戻ってきた!やったやった!タイムスリップ成功!
(そのまま排水溝の中に消える)